トライボ・サロンの報告

毎月,東京理科大学葛飾キャンパスにおいて,トライボ・サロンを開催しています.

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特別トライボサロン in 福井

トライボロジー会議2022秋(福井)において,特別サロンを開催しました.福井大の今先生のご尽力で,解禁したばかりの香箱蟹を堪能し,関係者の親睦を深めることが出来ました.産総研トライボロジー研究Grリーダーの是永さん,米国Rtec-Instruments社のJun Xiaoさん,潤滑通信社の黒川社長さん,日清オイリオの徳永さんと篠原さんらにも特別参加して戴き,トライボロジーに係わる様々な話題で盛り上がりました.

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第3回 京都大学 平山朋子先生

 トライボロジー研究の最先端で世界をリードする平山先生に,ご多忙の中,葛飾キャンパスまでご足労賜り,境界潤滑を中心にトライボロジー現象の体系的な捉え方の重要性,そして,物理吸着と化学吸着膜と摩擦挙動との関係に関する最新の研究成果をご紹介いたしました.2時半間に及ぶご講演でしたが,非常に興味深い内容に最後まで集中して聴講させて戴き,議論を通して皆さんの理解も深まり,また,研究・開発に係わる様々なヒントを戴くことが出来ました.学会や講習会では得られない,貴重な勉強の場になったと思います.本サロンのために,特別に未発表の資料などもご準備戴きまして,平山先生には深く感謝致します.
https://www.me.t.kyoto-u.ac.jp/ja/research/introduction/kikaikinouyouso

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第4回 桑原卓哉氏(大阪公立大学講師)「シミュレーションによる電子・原子の世界への誘い ー 何ができ、何を学ぶか? ー」

 桑原先生は,MD法の中でも,最も精密な解析手法である,分子軌道法に基づくポテンシャル場を用い,摩擦の起源を物理的に探究する研究を推進されています.解析手法の基本から,最新の研究成果まで,2時間半にわたる熱の入ったご講演に,参加者は皆,頭をフル回転しながらも楽しく聴講&議論を行うことができ,充実した時間を過ごすことが出来ました.桑原先生には深く感謝致します.
 Friction Regimes of Water-Lubricated Diamond (111): Role of Interfacial Ether Groups and Tribo-Induced Aromatic Surface Reconstructions,Takuya Kuwahara, Gianpietro Moras, and Michael Moseler,Phys. Rev. Lett. 119, 096101

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第5回 佐藤魁星君 博士論文公聴会

 2023年1月13日(金),対面とオンラインのハイブリッド方式で公聴会を開催しました.多くの方々にご参加戴,活発な質疑応答を戴きましたことを感謝します.
 佐藤君ですが,2022年9月にリヨンで行われたトライボロジー国際会議でのプレゼン大失態(左図:質問に答えられず沈黙)を教訓に,公聴会に向けて努力を重ねてきました.その成果が十分に!とまではいきませんでしたが,多くの参加者の方から,素晴らしい講演であり,質疑応答もしっかりと対応できていた!とのご感想も戴きました.4月からは,理科大佐々木研の助教として,更なる飛躍を目指すとのこと.期待しましょう.

第10回 横浜国立大学 大久保光先生 
SRT材料の潤滑機構の検討と環境適合型SRT材料の提案


 近年,高分子構造に起因する「柔軟性:ソフト」と超低摩擦性に起因する「強靱性:レジリエンシー」を兼備した「ソフト&レジリエント・トライボロジー(SRT)材料」が新たな摺動材料として提案されている.濃厚ポリマー ブラシ(CPB)は,その優れた超低摩擦性から次世代の機械摺動材料として注目されていますが,CPBの特異な層構造や超低摩擦機構については未だ不明な点も多く残されている.そこで,CPBの層構造や潤滑機構について,種々の摩擦界面のその場観察装置により調査した結果をご報告戴きました.また,環境に優しい新たなSRT材料:高濃度セルロースナノファイバー(CNF)成形体の超低摩擦性及びその特異な界面構造についてご紹介戴きました.